「今を生きよう」よりコミュ力的には未来が大事

コミュ力

『幸せに生きるためのヒント』的な本を開くと、「今を生きなさい」とか、「今に集中しましょう」と言ったことが書いてあります。

これは過去にとらわれる必要はないよ。今が大切だよ。「今幸せだと感じることに意味があるんだよ!」という趣旨の意見だと思うのですが、コミュ力的には、「今ここ」より「未来」がもっと大切なんです。

未来はなぜ大切か?

未来がなぜ大切なのかというと、どんなに恵まれた環境にある人でも、今が永遠に続くと思うとそれなり辛いからです。実際スピーチライティングをしながら出会う大成功したクライアントたちも、今より良くなりたいと思って日々頑張っています。

神経科学の第一人者であるアントニオ・ダマシオは、「ホメオスタシス(恒常性)には、成長が含まれている」と述べて、成長しようとする行為は全生物の根源的な欲求であると言及しています。成長できないと、みんな辛いのです。

逆に、私たちは未来に向かって成長していると感じられると、すごく癒やされますし、努力することができるようになります。この成長はゆるやかでもいいのです。

そのように未来に向かっていることを「希望」があるというのでしょう。逆に成長していない、未来は来ないと感じられると、「希望」のない「絶望」がやってきます。これは大変つらい状態です。

「今ここ」は、麻酔に似ている

「今ここ」に集中すれば、未来を見ないで済みますから、絶望はやって来ません。その意味において、「今ここ」は麻酔薬として重要です。

しかし、生物の根源的な動機を開放し、成長しながら生きようとするとき、未来は欠かせないのです。

「未来」は、あなたにとって価値があればなんでもいいのです。そしてそれが実現可能かどうかもあまり重要ではありません。望んでいる「未来」をいずれ手にすることができるという「希望」が持てることが、ダマシオの理屈に立てば最も重要になるはずです。

「ここではないどこか」は新しいコミュニケーション基盤

「今ここ」を大切に「ここではないどこか」へ。

「さあ、土星へ行こう」と提案することは、現実に疲れ、脳を麻痺させて生きるている私たちにとって、多くの癒やしをもたらします。そういう未来を提案することは、私たちの新しいコミュニケーションの基盤になるはずです。

さあ、一緒に土星へ行きましょう!

このエントリーは、『なぜ、あなたの話は響かないのか―信頼と価値の時代のコミュ力2.0』ディスカヴァー・トゥエンティワンを参考に、書き下ろしたものです。『なぜ、あなたの話は響かないのか―信頼と価値の時代のコミュ力2.0』ディスカヴァー・トゥエンティワンより。

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