ビジネスモデルを考えるときは、ビジョンから逆算する
ビジネスモデルを考える時に、「何をやるか」から考え始めちゃうんですが、そうすると結構しんどいですよっていうのが今日の話の主題です。
モノとかサービスっていうのは実は今非常に余っています。
需給ギャップっていうんですけど、需要と供給曲線を年代ごとに並べると、1960年はモノやサービスが足りませんでした。
だから供給をたくさん増やすっていうのがそもそもでした。
しかし1970年ぐらいを堺に需給ギャップが逆転をして、現在は完全にモノやサービスが余りまくっているという状態です。
こういう状態ではモノやサービス(「何をやるのか」)から考えるのは非常に難しいです。
なぜって、マーケットはすでに佳境で、レッドオーシャンになっていて、みんなでせめぎあっているからです。
みんなで同じものを作って、我慢大会をして、少しでも安くモノを供給しよう、少しでも安価に労働力を提供させて、他の競合を蹴散らそうという正面から衝突するような戦いが基本的には行われ続けています。
だから今あるマーケットを見て、「何をやるか」を考えるのは結構難しい。
それはみんな分かっているので、ブルーオーシャンを探そうとして、どこかに必要だけれども供給されていないものはないのかってことを考え始めるわけですが、それも実はなかなか見つからないっていうのが実際だろうと思います。
ビジョンとは「なぜやるのか?」「どんな世界にしたいのか?」
ここで重要になってくるのは、「なぜやるのか」を考えることなんですけど、「なぜやるのか」を考えるっていうのもまたトリッキーな話で、本当は「今のこの日本(この世界)に皆さんは満足していますか?」っていうことをまず考えて頂きたいんですよ。
満足しているのであれば、実は新しい仕事はかなり生み出しづらく、既存のマーケットに飛び込むか、就職をして働くことになります。
どこかで満足していないのであれば、組織内外問わず新しいサービスを作るということになってくるんですけど、その源泉は何かっていうと、この世界がこうなってた方がいいなあという大きなビジョンを描くことです。
そのビジョンに対して、そうなっていないという現実があります。
この現実と未来とのギャップを埋めるために事業内容を考えていく必要があるっていう風に考えるんです。そうすると事業内容というのは一個どころか無限に思いつくようになるはずです。
Facebookは、トクヴィリズム的ビジョン
例えば、私たちが利用している Facebook というのは、実はアメリカで大人気のトクヴィリズムという政治思想を反映しているように思います。
トクヴィリズムは民主主義をこの世に広げるための考え方です。
民主主義というのは一人一人が意見を発信できて、その総和として世の中を動かしていきましょうというものとします。
しかし一人一人の力では弱いと考えられています。
その一人一人の意見をより強いレベルでまとめるために、中間組織(少人数のグループ)を複数立ち上げて、その人たちが集まって誠実な議論をすることで、世の中を良い方向に引っ張っていけるんじゃないかというのが、トクヴィルさんが言っていることです。
だからFacebook を見て、Facebook も飽きたとかって言ってる人がいるんですが、Facebook は全然怯えることなく、莫大な投資をしているわけです。
どういう投資かというと、最初 Facebook は顔の見えるインターネットを通して、民主主義を作ろうということ多分やったんです。
その次に今やっているのは、まさに私が運営しているオンラインサロンのような小規模なグループを快適に利用してもらえるサービスを作っていこうということで、莫大な投資をしているように見えます。つまりこれはトクヴィリズムなわけです。
事業は、ビジョンを達成するための手段
重要なことは、どういう世界にしていきたいのか、その手段は何なのかっていうことを考えることです。
そのために事業内容があるっていう逆算をすれば、Facebookのようなぶれない投資をし続けることができます。
それがないとFacebook が既にあるのに、似たようなサービスを作ってみるとか、既に八百屋がそばにあるのに八百屋を作ってみるってことになります。
別にそれ自体は悪くない。
そうやって商売してみんな生きてるので、悪くないんですが、僕がうたっている言葉に「言葉で世界を変える」っていう表現があるとして、世界を変えるって何なのかってことを考えると、やっぱりこの世界がどうなっていた方がいいのかっていうビジョンから逆算する事業内容や、様々なサービス、言葉を生み出していくことが重要じゃないかなと思うっていう話でした。
ということで、今ある社会を見て何をやるかを考えるんじゃなくて、ビジョンを見てそのビジョンからなぜそのようなサービスが必要なのかって逆算することが重要だという話でした。
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コメント
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