スピーチライターになりたい方へ大切なメッセージです。
こんにちは。 蔭山洋介です。
最近、スピーチライターになりたい人がすごく増えているようです。
一昔前では考えられないことで、本当に嬉しいです。
就職希望のメールをしてくれる人の中から、日本のトップリーダーを支える仕事を一緒にやってくれる人が出てくれることを、本当に期待しています。
スピーチライターという仕事
スピーチライターは、とてもやりがいのある仕事です。
日本のトップリーダーと会い、彼らの深い悩みを聞き出し、その悩みを解決するためにどんな言葉を人々に語るべきかを考える、とても大切な仕事です。
スピーチライターは、ゴーストライターに分類される仕事であるにもかかわらず、華々しいイメージがあるのかもしれません。
実際はどうなのかというと、ある程度想像通りで、特別な人が、特別な言葉を、特別な場で語るためのお手伝いですから、少なくとも地味な仕事ではありません。
率直に言って、たぶんちょっとかっこいい仕事です。 ですが、なりたいという方にあらかじめお伝えしておきたいことがあります。
それは、スピーチライターという仕事は、職人として一人前になるのと同じくらいには大変ですよ、ということです。
プロになる、ということ
ただ原稿を書くことは誰にでもできます。しかし、プロはどの仕事でもそうですが、圧倒的でなければなりません。
プロの漫画家は、あっという間に美しい絵を仕上げてしまいます。絵の下手な人が、どれだけ時間をかけても、プロ漫画家のようには描けません。
圧倒的な質を、短時間で仕上げられる、それがプロです。
恐らくどこの世界でも同じことだと思います。
当然、プロになるにはある程度の努力と時間が必要です。
先日、いつも通っている美容師に、「一人前になるのに何年かかりますか?」と質問したら「5年くらいですかね?」という返事が返ってきました。
美容師になるには専門学校に行ってお店で数年間下積みをして、ようやくお客さまを満足させられるレベルになっていきます。
スピーチライターも同じで、まずは基本的なスピーチの勉強をして、その上でお客さまと仕事をしながら一人前になっていきます。
スピーチライターには資格はありませんから、名乗れば明日からでも仕事はできます。
しかし、満足させられるレベルの仕事をするには、やはりそれなりの修行期間が必要です。そういう修行を経て、スピーチライターという職人になることが出来るのだと思います。
スピーチライターになるためのトレーニング
スピーチライターになるための基本的なスキルは、以下に分類できます。
- スピーチを書くための基本的なルールを覚える
- スピーチの表現の幅を広げる
- コンセプトを整理する力をつける
- デジタル化に対応する
以下、一つずつ見ていきます。
スピーチを書くための基本的なルールを覚える
スピーチやプレゼンテーションには、基本的な作法やルールがあります。
たとえば、イントロダクションから始まって、本論、結論にいたるというような基本的な構成法があり、その創作方法は基本中の基本ですので学ぶ必要があります。
また、感情移入を誘うためのさまざまなテクニックがあります。起承転結はその一例ですが、他にも日常・非日常理論、ヒーローズジャーニー理論など、物語で感動させるための、こちらもごく基本的なテクニックですが、自分のものにしなければなりません。
これらの基本的なルールや作法を学べば、すぐに感動的なスピーチが行えるようになるわけではありませんが、覚えておいて損はありません。
こういうルールを把握した後に、優れたスピーチやプレゼンテーション、講演会に参加すると、基本に沿って表現がなされていることが理解できるようになるはずです。また、映画や演劇、小説などに触れても、その感動の方程式が読み取れるようになってきます。
基本は大切ですので、ぜひ勉強してみてください。
スピーチの表現の幅を広げる
表現力を豊かで感動的なものにするためには、表現力も大切な要素です。同じメッセージであっても、表現の仕方一つでわかりやすくなったり、感動的になったりします。
表現力の幅を広げるためにオススメのトレーニングは、たくさんの文学や映画、漫画、アート、ダンスなどなど、表現に触れることが基本ですが、特にオススメしたいのが暗唱です。優れた文章を暗記して、音読するトレーニングです。
暗唱は本当によくて、声に出して文章を読むことで、その文章が自分の血肉になるのが実感できます。
例えば、夏目漱石の『草枕』の草枕の冒頭「知に働けば角が立つ、情に棹させば流される、意地を通せば窮屈だ」から始まる表現、シェイクスピアの「生か死か」など、古典の名文の暗唱にはぜひ挑戦してほしいです。歴史の試練に打ち勝った文章です。
スピーチでは、リンカーンのゲティスバーグ演説「人民の人民による人民のための政治」も時代を超えました。
このような優れた文章を自分のものにしてください。きっと力になるはずです。
コンセプトを整理する力をつける
スピーチでは、コンセプトワークという、実際に原稿を書く前に行う大切な仕事があります。このコンセプトワークがしっかりできているかどうかが、プロとアマの差を分けると言えるくらい重要な仕事です。
例えば、世論が左を向いているのを、右に注目させるというような仕事があったとします。このような大勢が「確かにそうだ」と見る方向を変えるようなことを起こさせるには、当然その理屈が通っていることが何より大切です。
この、どのようなメッセージをどんな方法で打ち出すべきか、というその大枠を考えるのがコンセプトワークです。
例えば、村上春樹さんの『1Q84』では、タケノコのような地底でつながったネットワークが私たちの社会に影響を与えているというようなことがメッセージになっていますが、それを大学の講義で伝えたり専門書にするのではなく、小説という形で、しかも出会わない男女のストーリーという形で伝えています。
このようなメッセージを届ける戦略は、思いつきでやれるようなものではなく、綿密な計算の上に成り立っています。ヒット作を生み出し続けられるのは、このコンセプトワークの力が極めて優れているからだと思います。
スピーチと文学は、ほとんど同じ領域ですので、戦い方も基本的には同じになります。コンセプトワークはとても大切です。
訓練の方法でオススメしたいのは、本の要約を誰かに話すことです。本のスケールの情報量をざっくりまとめることができるようになれば、それはコンセプトを理解する力があるということです。
また、ちょっとハードになりますが、哲学や社会学も、コンセプトワークのトレーニングにうってつけです。人間とは、社会とは、私とは、など多くのコンセプトが、徹底的に議論されています。大学にこれから進学される方は、人文系でしっかりとトレーニングするのはとても良いことだと思います。
デジタル化に対応する
近年はスピーチもデジタル化が進んでいて、映像制作やスライド制作、オンライン配信、ハイブリッド配信、大規模イベントなど、複雑化の一途をたどっています。
企業の現場担当者だけでは太刀打ちできないほど、高度で複雑なものになってきています。
そのため、撮影・配信の技術、映像制作の技術、大規模イベント技術など、全部できなくてもいいですが、それがどのようなものかを知っておいて、いざという時に専門家と協力できるようになっておかなければなりません。
映像研究会などで、映像制作に携わるトレーニングをしたり、自分で動画配信に挑戦したり、スライドデザインの技術を磨いたりしておくと、間違いなく現場で役に立ちます。
スピーチライターという仕事の全貌を知りたい方へ
ここまでスピーチライターになるための基本的なトレーニングの方法について解説してきましたが、まだまだ紹介しきれないので、続きは拙著『スピーチライター 言葉で世界を変える仕事』をご案内させてください。
スピーチライターの歴史から、なるための方法まで詳しく書いています。
スピーチライターという日陰の仕事の全貌を、私の体験や資料を細かく調査してまとめました。スピーチライターという仕事を知りたい方は、まずはお読みいただければと思います。
『スピーチライター 言葉で世界を変える仕事』角川新書 Kindle版
そして、もし可能であるなら、スピーチライターゼミをご検討ください。
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スピーチライターゼミは、広報やコピーライター、コンサルタント、起業家など、言葉のプロフェッショナルが集まって切磋琢磨しているコミュニティなので、一人ではくじけてしまいそうな言葉のトレーニングも、仲間と一緒ならがんばることができます。
私が直接添削するだけでなく、仲間同士で批評したり励ましあったりして支えあって活動しています。
スピーチライターを目指すのであれば、スピーチライターゼミがベストだと信じて運営しています。
ぜひスピーチライターゼミでいっしょにがんばりましょう。
※ 2023/9/23 現在、スピーチライターゼミSWSを通して、スピーチライターとしての適正の見極めと、スキルアップを図っていただける機会をご提供させていただいております。
スピーチライターにご興味のある方は、スピーチライターゼミSWSで、ライティングスキルを学ぶことをお勧めしております。
25歳以下の皆さんへ
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スピーチライター 蔭山洋介
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