社長就任スピーチの書き方マニュアル

スピーチ上達法

はじめに

スピーチライターの蔭山洋介です。上場企業経営者や政治家など、日本のトップリーダーのスピーチやプレゼンテーションの制作をしています。

今日は、社長就任スピーチの書き方について解説をしたいと思います。

新社長に就任される方が必ずと言っていいほど悩まれるのが、最初の社長就任時のスピーチです。

今後の経営を左右する重要なものであるにも関わらず、何を話せば良いのか分からない。せいぜい前任者のスピーチをなぞるくらいしか成す術がないと感じている方も多いのが現状です。

しかし、これからご紹介する社長就任スピーチを書くコツさえわかってしまえば、スピーチのハードルはぐっと下がると思います。

この記事では、社長就任スピーチの基本的な考え方から、具体的な文章の書き方まで書いています。

社長就任スピーチの目的

そもそも社長就任スピーチの目的とは何でしょうか。

社長就任スピーチの目的は、大きくは以下の3つです。

①人柄を知ってもらう

一定以上の規模の企業の場合、ほとんどの従業員は普段の業務で社長と関わることはありません。

そのため、リーダーがどのような人で、どのような思いを持っているのかを従業員に知ってもらうためには、社長就任式のような従業員全員が集まる場でのスピーチが非常に重要になります。

従業員が社長の人柄を知ることで、社長が発するメッセージに対する従業員の理解がより深まります。

社長が自らを開示することで、従業員の安心感をもたらし、組織の活性化につながります。

これまでどのようなキャリアを歩んできたのか、どのような価値観を持っているのか、など自分自身の人となりを積極的に従業員に伝えていきましょう。

②ビジョンを伝える

自分が社長を務める間にどのようなことを成し遂げたいのか、会社をどのようにしていきたいのか、といったビジョンを従業員に伝えます。

このときに大切なのが、ビジョンに対して従業員にいかに共感してもらうか、ということです。

いくら強いビジョンを持っていても、従業員がそれを理解し、共感してもらえなければ、実現は難しいでしょう。

このような共感を得られるビジョンの作り方・伝え方については、のちほど詳しく解説していきます。

③従業員のやる気を引き出す

会社の成長は、従業員一人ひとりの力があってこそ、です。

社長だけがいくら頑張っても、ビジョンを達成させることはできません。

そのため、社長就任スピーチは、社長のビジョンを伝えることに加え、従業員がビジョン実現に向けた行動を起こしたくなるものでなければなりません。

ビジョンを達成するために、具体的に従業員に取り組んでほしいことを話すことはもちろん、日々業務に励み、会社の成長に貢献してくれていることへの感謝、そして今後のビジョン達成に向けた期待や、ビジョン達成が会社で働く従業員にとっていかに重要であるかなどを伝え、従業員のやる気を引き出すことが重要です。

以上が、社長就任スピーチの主な目的です。

聞き手(従業員など)が新社長のビジョンに共感し、その実現に向けて協力したいと思って行動を起こしてくれた時、そのスピーチは成功と言えるでしょう。

社長就任スピーチの長さはどれくらい?

続いて、社⻑就任スピーチの⻑さと⽅法、服装について解説します。

①社長就任スピーチの長さ

原稿の書き方に入る前に、社長就任スピーチはどれくらい話せばよいでしょうか。スピーチの長さの目安についてお話します。

まず、社長が演台やステージに立って話すだけのシンプルなスピーチの場合は、10〜15分くらいが目安です。最長でも20分くらいに収めるのが良いでしょう。

スライドを用いたプレゼンテーション形式の場合でも、同じく10〜15分くらいが目安になります。しかし、プレゼンテーションの場合、映像や写真などが活用できるため、しっかりと準備を行うのであれば30分程度の長いスピーチも可能です。

②いつ、どこで話すか

社長就任スピーチは、社長就任後できるだけ早く、できるだけ多くの人に聞いてもらうことが望ましいです。

社長就任当日に、従業員や取引先を集めて社長就任式などのフォーマルなミーティングを開催することができるのであれば、その場でスピーチを行って下さい。朝礼などを長く取って開催することもあります。

人を集めることが難しい場合、以下のような方法もあります。

・オンラインライブで配信

・スピーチを録画して配信

・少数の従業員などを集めたうえで、ハイブリッドで配信

いずれの方法でも構わないのですが、大切なことはスピーチを行うことです。

社長就任後の声は、就任以前の声とその影響力がまるで違います。いち早く社長就任のメッセージを発信するようにしましょう。

③どんな服装で話すか

社長就任という大切な場面ですから、一般的にはスーツにネクタイが望ましいです。

スーツはネイビーやグレーなどの落ち着いた色、ネクタイは無地かストライプなどのシンプルな柄がベターです。

しかし、会社の文化としてスーツが一般的でない場合は、無理にフォーマルなものにする必要はないかもしれません。IT企業の中には、フォーマルな式典であっても、オフィスカジュアル、またはカジュアルで、スピーチをすることがあります。

衣装は、社長の人となりやビジョンを効果的に伝えるための重要な要素です。フォーマルな場面であることは大前提ですが、必要に応じて様々な工夫をすることが大切です。

スピーチ原稿の書き方

それでは、いよいよ社長就任スピーチの原稿の書き方について解説していきます。

①キーメッセージ(ビジョン)を決める

社長就任スピーチに限らず、どのスピーチにおいてもまず最初に決めなければならないのが、キーメッセージです。

キーメッセージとは、このスピーチを通して最も伝えたいことです。社長就任スピーチの場合は、新社長のビジョンをキーメッセージとする場合がほとんどです。

ビジョンとは、社長になって実現したい会社の姿のことです。

例えば、「10年後に〇〇業界で時価総額日本No.1になる」といった定量的なビジョンもあれば、「日本一元気な会社」のような定性的なものの場合もあります。

いずれの場合も、新社長が就任期間中に成し遂げたいことを明確に示すことが大切です。

②スピーチの構成

ビジョンは、中期経営計画などにまとまっていることもありますが、多くの場合、従業員やステークホルダーが共感する形の言葉になっていません。

例えば、「売上を次の4年で30%伸ばす」というビジョンがあったとしても、そのまま従業員に伝えると「負担が増えて大変だな」と思われてしまうだけです。

そうではなく、時代の変化や社会課題、これまでの会社の歴史などを踏まえ、なぜ今これを成し遂げなければならないのかが伝わるような言葉に置き換えることが必要になります。

「DXを推進し生産性を高めることで30%の売上アップを実現する」と、数値目標に対して手段を明確にすることで、会社をデジタル化するのだなというメッセージが明確になります。

従業員・ステークホルダーに伝わりやすい言葉を選んでください。

スピーチの構成

キーメッセージが決まったら、それを聞き手に伝えるための原稿を書いていきます。

社長就任スピーチ原稿の基本的な流れは以下のとおりです。

①挨拶

②アイスブレイク

③自己紹介

④会社の歴史

⑤ビジョン

⑥ビジョン実現のための計画

⑦まとめ

順番に解説していきます。

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ここまで、お読みくださりありがとうございます。

続き(マニュアル全15ページ)は、下記リンクから、必要事項をご記入いただけますと、ダウンロード可能です。

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