今更ですが、PPAPが大ヒットしています。
関連動画再生回数50億回以上、Youtube史上もっとも視聴されたコンテンツということになりました。
なぜ、こんなにヒットしているのか、私ごときが切り込めかどうかはなはだ心許ないのですが、思うところがあるので少し書かせていただきます。
なんで「無意味」がこんなにもウケるのか
PPAPは、多くの外国人から受けているわけですが、その反応は「スゲ—無意味!」とか、「スゲ—センスない!」という内容が多いようです。
それは、まったくその通りなんですが、なんでその「無意味」がこんなに受けるのかいうのが、よくわからないわけです。
それで、この問を解くヒントに、西欧のユーモアと日本のギャグを比較して考えてみたいと思います。
西欧のユーモアと日本のギャグ
西欧のユーモアは、あくまで意味の戯れです。多くの場合、深刻な言葉を笑いに変えて、深刻さを無力化します。ソフトバンクの孫正義のユーモアを一つご紹介します。「髪の毛が後退しているのではない。私が前進しているのである。」これぞユーモアです。
一方、日本のギャグには深刻さを無力化するという働きは相対的に弱いものです。ビートたけしの「コマネチ」、小島よしおの「そんなの関係ねえ」などなど、もともと意味希薄なものを、より深い意味で無意味化しています。
コマネチは美人な体操選手ですが、ビートたけしの振りが付くと、体操選手のイメージが消し飛んでわけのわからないものになります。そこに意味の真空状態が形成され、その真空が笑いを創り出す源泉になっています。「そんなの関係ねえ」は、文字通り力づくで意味を無意味化するためのフレーズです。
宇宙に衝撃を与えるほどの無意味が形成
さて、PPAPですが、これがこの観点から見ると見事なのです。まず、I have a pen. I have an apple. ですが、英語を勉強したことのある全ての人は、このフレーズを学ぶはずで、グローバルな非常に多くの人の脳内に意味を形成できます。
次にこの二つをくっつけて、apple pen を作ります。結果、圧倒的に無意味な物体を作り出すことに成功します。pineapple pen も、appleの韻を踏襲しつつ、やはり圧倒的に無意味な物体です。
次の瞬間、この二つの無意味な物体を、あろうことか繋げてしまうのです。そして、こう宣言します。
pen pineapple apple pen!
ただでさえ無意味な物体が二つ繫がることで、宇宙に衝撃を与えるほどの無意味が形成されます。
なんということでしょう。これほどの無意味が、未だかつて世の中に存在したでしょうか?
いや、なかった。だから、こんな凄まじいことになっちゃったんだと思います。
加えて、見た目はヤクザなのに動きがカワイイので、見た目の意味も真空になる。リズムだけでメロディーラインがないので、世界中の人がこの無意味と戯れることができたということも忘れてはならない点です。
ということで、PPAPの中心にあるのは、宇宙に衝撃を与えるほどの無意味だと理解できます。
このブームが私にとって衝撃だったのは、日本のギャグが、海外の文化の壁を突き破って世界で通用するという事実です。欧米人には、一部日本通を除いて日本のギャグはわからないんじゃないかと思ってたんですが、ぜんぜんそんなことないみたいです。逆に、ギャグというものに慣れていない世界の人に対して、強烈なインパクトを与える力があることが明らかになりました。
ですので、今後こういうギャグはもっと世界に出て行くことになるんじゃないかと思います。
以上、PPAPについての真面目な論考でした。おしまい!
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