199X年、世界は核の炎に包まれた!海は枯れ、地は裂け、全ての生物が死滅したかのように見えた。だが、人類は死滅していなかった!
そして、世紀末を上り詰めた二人の男がいた。
しかし、その男たちは、深い後悔の言葉を残し、この世を去っていったのだ。
果たして、彼らの残した言葉とは!?
わが生涯に一片の悔い無し!!ラオウ最後の強がり
北斗の拳の拳王ラオウは、圧倒的な武力とカリスマ性で勝利を収め続け、世紀末覇王として君臨します。そのラオウがケンシロウに倒されそうになったその時、ラオウは天に拳を突き上げ叫びます。
我が生涯に一片の悔い無し!!
北斗の拳で最も有名な、ラオウ最期の言葉です。
なぜ「我が生涯に一片の悔い無し!!」は、私たちの心に残り、魂を震わせるのでしょうか。
ラオウは、世界の平和を願い、暴力が蔓延する世紀末を力でねじ伏せ、恐怖で平定しました。ですがその世界に安らぎは訪れませんでした。
ラオウは苦悩します。なぜ、世界を幸せにできないのか?己の道に間違いはなかったのか。
そして、ラオウは気が付きます。暴力や恐怖によってもたらされる平和は、真の平和ではないことを。愛による平和こそ、真の平和であることを。
ラオウは、愛の闘志ケンシロウと拳を交えながら、自分の間違いに気が付き、ケンシロウにすべてを任せることを決意します。そして、全人生をかけて築きあげた覇道の平和を投げうつのです。
その、ケンシロウに自分の想いを託す、その時の言葉が、
「我が生涯に一片の悔い無し!!」
なのです。
つまり、言葉では、悔いはなかったと言っているのですが、同じだけの力で、「オレは間違っていた!」と言っているのです。
覇王、最後の強がりとでも言いましょうか。だって本当に悔いがなかったら、悔い無しって言わないですから。
そう考えると、ちょっとカッコ悪い感もありますが、ラオウは不器用な漢だったと思います。
その不器用な生き様から溢れた、最期の言葉だからこそ、私たちの心に残り、魂を震わせるのです。
もうひとりの覇王、ジョブズ最後の言葉
次に取り上げたいのは、現代の覇王、apple創業者スティーブ・ジョブズの言葉です。
頂点を極めたジョブズは、末期がんとなり、死にゆくベッドの中で、後悔の念に取り憑かれます。そのジョブズが亡くなる直前に残した、最後の言葉です。
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「私が持っていける物は、愛情にあふれた思い出だけだ」
「これこそが本当の豊かさであり、あなたとずっと一緒にいてくれるもの、あなたに力をあたえてくれるもの。あなたの道を照らしてくれるものだ。」
「あなたの家族のために愛情を大切にしてください。あなたのパートナーのために、あなたの友人のために」
「そして自分を丁寧に扱ってあげてください」
「他の人を大切にしてください」
ジョブズは人生最期の言葉を、そう締めくくっています。
もう、すごく心に染みる言葉です。
家族や友人、パートナーを大事にしなさい。愛情を大切にしなさい。誰もが言いそうな内容ですが、覇王ジョブズが死の間際に言ったという事が、深く心に染みてきます。
後悔なく生きていく事は不可能でも、生きていればやり直しもできます。
ですが、ジョブズにはもう、その時間も残されていませんでした。その貴重な時間に語った言葉です。心の底から出てきた言葉です。
その後に追伸として、現CEOティムに「スティーブならどうするかを考えるな」と、ダメだった自分にかけて、ティムにエールを送っています。
富、名誉、沢山のモノを手に入れた、覇王ジョブズの激しい後悔だからこそ、私たちの心に残り、魂を震わせる真の言葉となったのです。
人生をかけた言葉だけが力を持つ!
ラオウやジョブズと違い、口先だけの、やるやる詐欺の人間の言葉を、私たちは見抜くことができます。
言葉の通りに行動していないからです。言葉の通りに生きていないからです。
己の生き様を投影させて放った言葉ではないからです。
誰かの責任だったり、誰かの代わりの人生を生きている言葉ではない、自分の人生から出てくる言葉だけが、力を持つのだと思います。
ラオウやジョブズの言葉は、まさに自分の人生から語られた言葉です。フィクションであれ、ノンフィクションであれ、その言葉に人生が感じられれば、言葉は輝きだします。
私たちが、ラオウやジョブズの言葉に心を打たれるのはそのためです。
私も、素敵な人生を生きて、後輩に「オレの真似をするなよ」とか言いたいなあ!!!
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